ひらかれた対話の旅Vol.1「福祉と教育とアートの可能性」GIFT’s(岩見沢)

news

ひらかれた対話の旅Vol.1

「福祉と教育とアートの可能性」GIFT’s(岩見沢)

アートや教育、子どもをめぐる場所を訪ね、声を聴き、想いを交わす。
「ひらかれた対話の旅」は、その一つひとつの出会いを記録し、
“人が学び、育ちあう場”の姿を見つめ直す、小さな旅の連続です。

助成:札幌市(2025年度 札幌市文化芸術創造活動支援事業)

安松 まゆは
Writer

札幌から車で約1時間、のどかな田園風景が広がる岩見沢市は、豊かな農産物に代表される食の宝庫。こだわりのカフェやレストラン、ワイナリーなども点在します。

また、北海道教育大学岩見沢校で芸術や音楽、美術などを学ぶ学生によって市内各所で魅力あふれるアート活動が展開されるほか、近年はアーティストや音楽家、食の専門家など個性的な移住者が集まる美流渡地区の活動も注目されています。

そんな岩見沢市に、福祉の視点からアートや教育へのアプローチを模索されている方々がいらっしゃるというお話を聞き、Aroma Stylist Mikaさんと一緒に訪問・取材してきました。

ポップな壁面アートが目を引く「健康と福祉サービスの総合施設『GIFT’s』」

岩見沢の新たなランドマーク「健康と福祉サービスの総合施設GIFT’s

今回訪問した「健康と福祉サービスの総合施設『GIFT’s』」は、空き家となっていた社宅を改装し、複数の福祉事業が集う複合施設として再生させた場所です。

運営を担当する株式会社タメニは、岩見沢を拠点に幅広い事業を展開するイザナグループの福祉事業会社です。グループを統括する株式会社イザナ(代表取締役:川原悟)は、板金事業を出発点に飲食・福祉・鉄鋼・コンテナなど多角的に事業展開を行っており、この施設の改装を担当したのも同グループ企業である株式会社ナミキだということ。

地域に根ざした幅広いサービスは、岩見沢を代表する企業として高く評価されています。

1階の「RICO COFFEE LIFE(以下、リコカフェ)」は、2024年1月にオープン。ホットケーキやプリン、玄米ご飯やフレンチトースト、自家焙煎コーヒーなど、こだわりのメニューが多数揃います。

また、障がいをもつ方の就労先のひとつとしても機能しており、彼らが地域で働く場としての役割も担っています。
SNSでの宣伝効果もあり、オープン以来市内外からたくさんのお客様が訪れているそうで、すでに岩見沢の新名所といった印象でした。

カフェのお隣には、障がいの有無に関わらず利用できるキッズルーム「空のパレット」があり、未就学児から小中学生まで幅広い年代の子供たちが思い思いに過ごすことができる環境が用意されていました。

さらに上階には、障がいのある方々の自立支援のためのグループホームや、将来的にショートステイ施設としての活用を目指している宿泊施設があります。

そのほか、室内養鶏場(卵は1階のカフェへ!)も。事業の幅広さとスタッフの皆さんのバイタリティに驚きながら、1棟まるまるご案内いただきました。

▲リコカフェの奥には、本格的なガス焙煎機を備えたゲストルーム(予約制)があり、焙煎の様子を間近で見ることができます。そんなゲストルームにて、株式会社タメニ専務取締役の佐々木美和さんにお話を伺いました。

リコカフェでは、障がいを持つ方が支援を受けながら働く場としても活用されています。

「ただ、福祉のためということではなく、美味しさや居心地が良さで選んでいただけることが大切だと思います」と佐々木さん。
食材を厳選するだけでなく、調理や焙煎の質、また店内のデザインや雰囲気作りにも徹底的なこだわりを感じました。

また、リコカフェでは利用者さんの「自分にあった仕事を見つけたい」「色々なことに挑戦してみたい」という気持ちを大切にするため、指導員によるサポート体制も万全です。利用者さんが調理やカフェ業務、接客、焙煎、コーヒー豆の袋詰め作業、ニワトリやヤギのお世話など、幅広い業務に安心して挑戦できる環境を整えているということ。
それらの仕事の中から利用者さんそれぞれが自分の得意なことややりたいことを見つけられる点がとても魅力的だと感じました。

福祉と教育とアートの可能性

「できる、できないで画一的に判断されるのではなく、多くの選択肢の中からその子の特性を生かして何ができるかを考えるという観点が大事です。これは、障がい福祉だけでなく教育にも通じる価値観ではないでしょうか」と佐々木さん。

リコカフェの隣にオープンしたキッズルームもそのような考え方の元、障がいの有無に関わらず未就学児や小中学生が利用できるようにデザインしたのだとか。

「子供たちにはモチベーションを持って選んでもらいたいので、子供たちが夢中になれるものが必要」と、最新のゲーム機器を完備。「将来ここからEスポーツのプロ選手が出たら面白いですね」とお話されます。

アート活動については「障がい福祉の業界では、アート活動を取り入れている事業者さんが多数いらっしゃいます。私たちの施設の利用者さんの中にも、好きなことにとことん集中するという特性をお持ちの方が多いので、アート活動を使ってうまく導いてあげたいという想いがあります。」ということ。

さらに、キッズルームでもゲーム以外の活動を取り入れ、障がいの有無に関わらずみんなが自然体で取り組める活動を展開していきたいという考えをお持ちで、「やはりアート活動が最適だと思うのです」ともお話されました。

今回の訪問では、Mikaさんと交流のあるバティック(ろうけつ染め)アーティストで、インドネシアのバリ島と岩見沢市を行き来しながら活動される麻生クミさんも同席。

「クミさんやMikaさんなどのアーティストの方々には、ぜひここを活用していただきたいです。近所の子供たちと一緒に自由な創作活動ができたら最高ですね。子供たちにとっては、親や学校の先生以外の大人の方々とじっくり向き合う時間はかけがえのないもの。とくにアートという正解のない表現活動は、子供たちに新たな視野と大きな可能性を与えてくれるものと信じています」
という佐々木さんの言葉に、アライアンス代表の森嶋さんもMikaさんも大きくうなずいていました。

取材に同行いただいたAroma Stylist Mikaさんについて

Mikaさんは、昨年度札幌市の助成を受けて実施した「放課後アート秘密基地」(2024年度札幌市文化芸術創造活動支援事業)に参加いただいたアーティストの一人。「香り」の作品作りや販売のほか、アロマ講師として「香害」の啓蒙活動にも取り組まれています。

また、ご自身の保育士としてのキャリアやダンサーとしての経験から、「ナチュラルに感じる」楽しさを子供たちに届けたいという想いをお持ちで、今年9月には、アフリカンアートで壁画やライブペイントを行う画家のSHOGEN氏を招き、「『ブンジュ村で学んだ大切なこと〜今日、誰のために生きる?』SHOGEN ∞ Aroma stylist Mikaトークイベント」を開催。

今後も「Art秘密基地」という名称を引き継ぎ、「アート×教育」をテーマに、分野横断型のさまざまなプロジェクトを展開予定。

おわりに

「一過性のイベント開催は砂漠に水を垂らすようなもの。各地で取り組みを続ける事業者同士が手を取り合い、日常の中にアート的な活動が存在する社会を実現させたい」と森嶋さん。
ゆるやかに繋がつながりながら、アートを軸に良好なご近所付き合いができたら、と話は尽きませんでした。
今後もGIFT’sさんの活動に注目していきたいと思います!

コメント

タイトルとURLをコピーしました