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01 アートのマネタイズ会議 Vol.3

アートのマネタイズ会議 Vol.3

投稿日 2026.08.25

今回の会議では、「アートのマネタイズを考える一年間」が始まって約1〜2か月経った現在地を振り返りながら、今後どのように進んでいくかについて話し合いました。 まだ何かを決定するための会ではなく、これまで参加してきた人たちが感じていること、現在見えている可能性や違和感を持ち寄る時間となりました。 まず参加者から、このプロジェクトに参加して感じていることを聞きました。 多く出てきたのは、普段の活動だけでは出会わなかった人や考え方と接することができているという声でした。 ア…

POINTS

この記録のポイント

  1. 01要約・分析・今後の提案
  2. 021|要約
  3. 03この1〜2か月を振り返って
ARTICLE本文

要約・分析・今後の提案

今回の会議では、「アートのマネタイズを考える一年間」が始まって約1〜2か月経った現在地を振り返りながら、今後どのように進んでいくかについて話し合いました。
まだ何かを決定するための会ではなく、これまで参加してきた人たちが感じていること、現在見えている可能性や違和感を持ち寄る時間となりました。

1|要約

この1〜2か月を振り返って

まず参加者から、このプロジェクトに参加して感じていることを聞きました。
多く出てきたのは、普段の活動だけでは出会わなかった人や考え方と接することができているという声でした。
アーティストだけでなく、地域、教育、キャリア支援、経営、企画制作など、異なる背景を持つ人が参加しています。
一方で、

「アート」の捉え方も人によって違う
「マネタイズ」の意味も違う
活動を仕事にしたい人もいれば、必ずしもそうではない人もいる
それぞれのキャリアやライフステージも異なる

ため、議論がかなり広がっており、
「この先、どこへ向かうのだろう」
という声も複数ありました。

この場そのものに生まれ始めているもの

興味深かったのは、すでに参加者同士が別の場所で偶然再会し、
「あのプロジェクトで会いましたよね」
という共通言語が生まれ始めているという話でした。
また、

「これは主催者だけの事業ではなく、参加している人たちも一緒につくるものではないか」
という意見も出ました。
運営から何かを提供されるのを待つだけではなく、自分たちも必要に応じて支えたり、役割を持ったりできるのではないか、という声です。
一方で、

「まだ自分がどこで関われるのか分からないので、しばらくオブザーバーとして参加したい」
という人もいました。
全員が同じ速度で進むのではなく、それぞれ違う距離感で関われることも、この場の特徴として見えてきました。

アートの価値は、本当に社会に届いていないのか

会話の中では、
「アートの価値が社会で十分に認識されていない」
という問題意識も多く語られました。
地域活動などで、

「場所を貸すから無料でやってほしい」
と扱われることや、作家側がお金を払って展示することが当然になっている状況についての話もありました。
一方で、アートの外側の立場から、
「普通の人も美術館へ行くし、ライブにも演劇にも行く。みんなアート自体は好きなのではないか」

という意見も出ました。
ここから、
「社会がアートの価値を分かっていない」
だけではなく、

アートと人が出会う場所、買い方、支え方、関わり方の回路に問題があるのではないか
という見方も生まれました。
実際に、ギャラリーよりもバーで展示した方が、普段アートに接していない人から大きな反応があったという事例も共有されました。

作品そのもの以外にも、価値はある

地域の歴史をリサーチして演劇作品にする活動や、障がいのある人と一緒に踊る盆踊りなどの実践も紹介されました。
作品の完成度だけではなく、
人と人をつなぐ
地域を見る視点を変える

これまで関わらなかった人を巻き込む
対話を生み出す
といった力も、アートにはあるのではないか。
しかし、そうした価値は活動の内側にいる人には分かっていても、外側からは見えにくい。

そこで、
活動のプロセスそのものを見せたり、価値が伝わるようにプロジェクトを設計したりする必要があるのではないか
という話が出ました。
「作品をつくってから広報する」のではなく、

価値が見える状況そのものをつくる
という考え方です。

「横につながること」と「何かを実際にやること」

今回、今後について考える中で、
横軸と縦軸
という考え方が出てきました。
横軸

さまざまな人が出会うこと。
話すこと。
異なる価値観や専門性を知ること。
関係をつくること。

縦軸
具体的なアイデアを選び、実際の商品、企画、プロジェクト、実証へ進んでいくこと。
これまでの1〜2か月は、主に横軸を育ててきました。
一方で参加者からは、

横につながったあと、その中から具体的に動き出す小さなグループをつくることもできるのではないか
という意見が出ました。
横軸と縦軸はどちらか一方を選ぶものではなく、両立できるのではないか、という考え方です。

具体的な実践のアイデア

会話の中では、今後の実践につながりそうなアイデアもいくつか出ました。

商品や仕事のあり方を考える

これまでの、
「作品を売る」
「公演をする」
「ワークショップをする」

だけではない仕事や商品の形を考えてみる。
グッズ、異業種との共同企画、地域との連携など、既存の枠を越えた商品設計を考える可能性が話されました。

社会へ向けた大きなアクション

アートの価値や考え方を、広告や作品などを通じて社会に強く提示するアイデアも出ました。
ただし、これは現時点での一つのアイデアであり、プロジェクト全体のゴールとして決定したものではありません。

人が集まり、対話する場そのものを広げる

アーティストだけではなく、行政、地域、企業、異分野の人などが集まり、
アートと社会やお金について話すことそのものを、もっと社会にひらいていく
という提案もありました。

表現者の多様な生き方を可視化する

専業で活動する人。
別の仕事と組み合わせる人。
教育を仕事にする人。
商業的な仕事と創作を両立する人。

表現者の生き方は一つではありません。
「アートで食べていく」という一本道ではなく、
さまざまな活動や生活の組み合わせを可視化する「マネタイズ地図/図鑑」のようなものがあってもよいのではないか
という話にも広がりました。

2|今回の会議から見えてきたこと

分析

ここからは、会議で何かが決定したという意味ではなく、対話全体を振り返って見えてきたことです。

① 「答えを探す集まり」から、「人と可能性がつながる場」へ

当初は「アートのマネタイズ」という問題について考えるために集まった人たちが、少しずつお互いを認識し始めています。
この1〜2か月で生まれた最大の成果は、まだ事業や商品ではなく、
異なる分野の人が、互いを知り、必要なときにつながれる土壌
なのかもしれません。

② 「広げる」と「深める」を二者択一にしなくてよい

これまで、
「多くの人が参加すると深い実践ができない」
「少人数で深めると、閉じたプロジェクトになる」
という問題がありました。

今回の対話からは、
広い場を残したまま、その中から必要に応じて小さな実践グループが生まれる
という第三の可能性が見えてきました。
全員が同じプロジェクトをする必要はありません。

③ 参加者の関わり方が自然に分かれ始めている

参加者の中には、
自分でも何かをつくりたい人
誰かの企画に参加したい人
情報や専門性を提供できる人

まだしばらく見ながら考えたい人
がいます。
この違いを無理に統一するのではなく、
それぞれの関わり方を認めた方が、この集まりは機能する

可能性があります。

④ 「アートの価値を社会に伝える」だけでは足りない

社会にアートの価値がないのではなく、
すでに好きな人もいる。
興味がある人もいる。
それでも、

「買う」
「仕事として依頼する」
「継続的に支える」
「制度として支える」

ところまではつながっていない。
問題は価値の有無よりも、
価値が流通する回路
にあるのかもしれません。

⑤ 「何をするか」以上に、「どう生まれるか」が重要になってきた

今回、一つのプロジェクトをトップダウンで決めるよりも、
参加者それぞれが持っている、
「こんなことをしてみたい」
「こういう問題がある」

「これなら手伝える」
を組み合わせることで、新しい活動が生まれる可能性が見えてきました。
つまり、
主催者が企画をつくり、参加者を募集する

だけではなく、
参加者の中にあるアイデアや専門性が接続され、そこから企画が生まれる
構造への移行です。

3|今後の提案

今回の対話から、これからは運営側が一つの方向を決めて進めるだけではなく、参加者それぞれが持っている問いやアイデアが、他の人とつながりながら育っていく環境をつくってみてもよいのではないかと感じました。

たとえば、
やってみたいこと
商品や体験、企画のアイデア
社会に投げかけたい問い

自分だけでは実現できないこと
困っていること
誰かと考えてみたい問い
ひとりではやりたくないこと

などを「タネ」として共有する。
そこに別の人が、情報や経験を加えたり、一緒に考えたり、必要であれば小さな実践につなげたりする。
全員で一つの答えを出すのではなく、広い場を残しながら、その中からいくつもの小さな動きが生まれていく。
そんな仕組みがつくれたら、このプロジェクトが”企画”から”生態系”へと変化するようで、面白いかもしれません。

現時点でのまとめ

まだ、この一年間の「正しいゴール」が決まったわけではありません。
むしろ今回の会議では、
一つにまとめなくてもよいのではないか
という可能性が見えてきました。

さまざまな人が出会う広場を残しながら、
そこから小さな実践がいくつも生まれる。
そのために、
アイデアを持っている人だけではなく、情報を持っている人、編集できる人、つなげられる人、実際に動ける人が、それぞれの方法で関われる環境をつくることが大切なのかもしれません。

最後に森嶋からひとこと

昨夜はありがとうございました。
対話を終えてから、あらためて皆さんの言葉を反芻してみることで、さまざまな気づきがありました。
そのときに感じたことを最後に少し書いてみたいと思います。
昨年、「オルタナティブ教育サマースクール」という事業をやったときに、改めて感じたことのひとつがあります。

それは、
「大人が子どもに何かを与えるのではなく、子どもたちが自分で動ける環境を整えることが大事なのではないか」
ということでした。
これまで何度も話題に出ていますが、マネタイズをめぐる課題は、それぞれかなりバラバラです。

正解がないというよりも、無数の小さな正解が、あちこちに散らばっているような感じなのかもしれません。
だから、みんなでひとつの正解を探す、というやり方はどうもしっくりこない。
たとえば、
周りにマネタイズについて話せる人がいない

同じ地域では、同じ感覚を持っている人が見つかりにくい
商品や体験を考えてみたが、どう思われるのかわからない
世の中に向けて何かを大きく発信したい
ただただ、今の活動を継続したい

もう少し業界の外へ届けたい
業界内ではかなり実績を積んできたと思うけれど、マネタイズや評価が追いついていない
それぞれ違う問いを持っています。
このプロジェクトも、これまでは運営側が場をつくり、問いを用意し、人をつないできました。

でも、ここから大事になってくるのは、皆さんがそれぞれに動きやすくなる環境を整えることなのではないかと思い始めました。
運営側が大きな旗を一本立てて、そこにみんなを集めるのではなく、それぞれが自分の旗を立てられる環境をつくる。
あるいは、まだ旗と呼べるほどではない、小さな「タネ」を置いておく。
そこに誰かが興味を持って集まったり、情報を足したり、感想を伝えたり、ときには一緒に育てたりする。

もちろん、僕自身もタネを置くし、旗を立てます。
誰かのタネに水をやることもあると思います。
運営側がすべてを動かすのではなく、何かが生まれやすくなる環境をつくること。
そのための場所や仕組み、ルールを、これから考えてみるのも面白いかと思いました。

……とはいえ、まだこれも現時点での考えです。
27日の話し合いが終わったころには、またコロッと意見が変わっているかもしれません(笑)。
それも含めて、この一年間なのだと思っています。

PROJECT

アートのマネタイズを考える一年間

問いを持ち寄り、対話を重ね、走りながら考える一年間。わかりやすい答えに急がず、途中の問いも記録していくプロジェクトです。

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