教育者 Meets アーティスト「斉藤 幹男×川田 由紀」(第3話)街に子ども達が解き放たれるとき

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教育者 Meets アーティスト 「斉藤 幹男×川田 由紀」第3話

街に子ども達が解き放たれるとき

教材開発や探求学習を支援する助成プログラム】に採択された訪問保育ひかりの保育士・川田由紀さんが、教材開発にあたって何組かのアーティストと出会い、対話を重ねていく行程を可視化する、という企画が生まれました。

その名も「教育者 meets アーティスト」(そのまんまですが)

今回のお相手は斉藤幹男さん。
アニメーションやCGなどを活用し、アナログ・デジタル双方の魅力を融合させた新たな創造性を映像、立体、平面などで展開されています。
こどもスナックmikioなど、子どもを対象にした作品やワークショップの経験もあることから、多岐にわたるお話が展開されました。

斉藤 幹男
Artist

公共空間表するとがて。
チカホ(札幌市地下歩行空間)ができて2年目の時なんですけど、5組のアーティストが、チカホのスペースをジャックして。
そこで11日間かな?子供たちとワークショップしながら滞在して。

僕はそこに撮影スタジオみたいなものをつくって、青いビニール袋をブルーバックにして、撮影したりして。
その場で子どもたちに演技してもらって、絵とかを合成して、11日間かけて1つの映画を作ったんですけども。

川田 由紀
保育士

あ、このパンフレットのイベントですね。
(机にあったパンフレットを手に取る)

斉藤 幹男
Artist

そうですね。
それで、これが面白かったのは、公共空間でやったということで。
施設の中とか、こういう部屋でやっていたら、誰にも見られないんですけど。
通りのあころこういうことをやるとこう楽しんいる姿大人影響するというか。

川田 由紀
保育士

そうですよね、エネルギーがありますよね。

斉藤 幹男
Artist

からこう、ども達なにかをやってるだけじゃなくて、大人に向けて何かやってる気持ちになったというか、世の中に向けてやってるみたいにも感じて。

なかには、デモをするっていうアーティストの人がいて、看板に子どもたちが、自分が宣言したいという想いを書いて、チカホをデモして歩いたり。
やっぱりその、子どもたちって自由に生きていそうに見えても、すごくやっぱり、親とか先生から「あれしちゃダメ」「これしちゃダメ」って言われていたりもして。

なんというか本当は「これしたい」「あれしたい」とか、紙に絵を描きたい」「壁に落書きしたい」とかそういう多分あるうんすけ子どもなりの、かわいい欲望みたいなことというか。

川田 由紀
保育士

そう思います。
なんというか、人が困るようころ描きたいんだ思います(笑)
なんの制限もなかったら、きっと・・・

斉藤 幹男
Artist

つのにか大人なるいうか、そういうこと目だかちゃ書くみたいな
汚したら掃除しなきゃダメ、とか
大人になっていかないと大変ではあるんですけど、でもやっぱり発散する場所があることって凄く重要なんじゃないかなって思ったりもして。

川田 由紀
保育士

そうですよね、私もそう思います。

保育の現場では、粘土とか、必ずしも粘土じゃなくても良いんですけど、の大切さというか、そこにある触れたりする持ち整っくおさんとかもいたりする感触を感じることとか、ういことって大事だったんな、と思ったりすることがあって

(パンフレットを見ながら)
あと、このイベントでいうと、私の関わっているお子さんは鉄道とか乗り物が好きな人がけっこういるんですけど、こんなことできるんですね。

斉藤 幹男
Artist

チカホにレいてども地下みたいなも走らせいるアーティストもいて。
実際に動くんですけど、各駅にはアーティストがいたりして、すごくおもしろかったんですけど1年だけで終わってしまったんですよ。
毎年やればいいのにって思っていたんですけど。

子どもが楽しそうな姿を見て、元気になる人とかもいたりして、それがそういうのを見るためにいてたわけない通行人目撃するとい、公共場所でこういうことをやるのって凄く良いなって思って。

川田 由紀
保育士

いいですよね。
てチカホみたいに天井高い空間にいるだけ叫びたくるし走りたくなるからそんころしいとができるなんて最高思います

絶対に楽しいのに・・・
なんだか、周りの理解もすい大なんなっ思いました。

斉藤 幹男
Artist

あと、どもが課後学校終わってから、3時半とかですかね?
小学校から解き放たれる瞬間大人世界どもがぶわっと溢れるあの瞬間がけっこう好きで、なんか町の秩序が崩壊していくというか(笑)
大人が子供の面倒を見なきゃいけないタイムですね。
それまで仕事をいっぱい頑張って、子供が来たからもう仕事できないみたいな。
あの瞬間が好きなんですけど。

も、やっなんか、なのが、もいいうか。

川田 由紀
保育士

あぁ、うんうん、そうですね。
公園でも「投げないください」とかありますもんね
そしたら、
どこ投げるだろう、って思うこともありますけど。
家の中でもきっとやったらダメって言われているでしょうから、どこでやってるんでしょうね、って思います。

うーん、本当そうですね。
でも、すごいなんか視点が面白いというか、子どもが町に解き放たれる時間とか(笑)
私の中ではそこがツボで、ちょっと涙が出るくらい面白いんですけども(笑)

斉藤 幹男
Artist

アーティスト・イン・スクールで学校に行くと、子供たちはなんか先生にはしないような話を、僕らみたいなアーティストにしてきてくれるんですよね。
それって要は、僕は先生じゃないし、「採点しないからだ」っていうことを、保健の先生に聞いたんですけども。

僕らみたいに関係のない大人が、学校にいることって・・・
なんか、子どもたちは学校の中にいても、先生には普段思っていることか、自分がなにを好きとかも話せないとか。
自分のことを話せないのに、自分を判断されちゃうことにすごいためらいがあったりだとか。

川田 由紀
保育士

そうですよね。
それは年齢によるかもしれないですし、その先生との関係性もあるとは思いますけども・・・
でも、保護者の人も、私も保育士をしていましたけども、自分がお母さんという立場になった時に、やっぱり「いいお母さん」を見せたいっていうのはあったなって最近思うんです。

ということは、子供だってやっぱり先生にいい面を見せたい、もちろんなんかできないとか、いろんなところを見せるとは思いますけど・・・

大人の私でも、小学校の先生とか、中学校の先生には、「先生、私うちの子に、こんなことで怒っちゃうんです」とか、絶対言わないから、保護者として頑張ってる姿勢を先生に見せようとしちゃうんですけど。

斉藤 幹男
Artist

あぁ、なるほど。

川田 由紀
保育士

でも、第三者っていうか。

私の場合はベビーシッターという立場で訪問すると、「物事を言いやすい人」になるんですね。
甘えたとしても、私はそれを評価する人でもないし、受け止めに行くっていうか。

だから、学校にも先生じゃない立場の方がいらっしゃることって安心感なんだなって。いいところを見せなくていいって楽ですよね。

斉藤 幹男
Artist

子供向けのワークショップでも、親が子どもの横にいて「もっとこうしたら」とか言ってしまうことってあると思うんですけど、そうすると子どもは緊張しちゃうというか。

アーティストは学校の先生じゃないから、美術的な評価はしないし、真面目っていうか、堅い感じにならないで、好きにやってもらうのが一番なんだけどなって。

だから、ワークショップとかは子どもだけでやりたいって思ったりすることもありますね。

川田 由紀
保育士

親の「良くしたい」っていう気持ちが、前に出すぎてしまうことがあるんでしょうね。

うちの子はアートセラピーっていうのに通っていて、評価をしない場所なんですけれども、多分そういうのがすごい好きな子もいて。
アートセラピーに6年行っても、うちの子って図工が「大変良い」じゃないんですよ。

でも、評価を求めてないから、そこで何か気持ちを出せるとか、表現できるっていうことが目的だから通っているけど、割合的には「6年も通っているのに、図工が大変良いじゃないの!?」って、何かしら結果に繋がることを期待する親の方が多いんだろうなということは感じます。

斉藤 幹男
Artist

僕は最初の頃のワークショップでは、子供のことを考えて、子供を利用して作品を作るみたいなところが結構あったんですよ。
1人で作品を作るときは単純に僕の手しかないんですけど、子供と一緒に作ると子供の絵がどんどん入ってきて、しかもすごいスピードでエネルギーが入ってきて、自分1人で作れなかったものが作れるようになったりする。

そのうちに、大勢の子ども達という認識から、ひとりひとりが見え始めてきて、ちゃんと名前を覚えたりして、集団としてじゃなくて、人間同士みたいな感じになって。

そうすると、実はこの子、僕の活動ではすごく活躍しているけど、普段のクラスではそうではないんだ、とかが見えてきたりして。
「みんなで何かを作ろう」から、「この子と何かをつくろう」「この子の得意なことを活かしたい」みたいになってきて、1個の活動の中でそれぞれの子に合わせて、いくつかプログラムを作るようになって。

大変なんですけど、子どもとしていうよりも、人間としてみたいな感じに、そんな感じに変わってきていたりしますね。

川田 由紀
保育士

先入観がないことっていうことが、なんていうのかな。

先入観を持たないようにしているけど、「ここの部分がこの子は苦手だから、援助しなきゃ」みたいなことが、やっぱり支援者って出てくると思うんですよ。

1人1人違うっていうのはもちろん分かってるし、例えば千人の子供がいたら、それぞれへの関わりは変えてるつもりです。
だけど、その先入観を持たずにへーってぐらいの方が子供ってなんていうのかな、対等っていうか、付き合いやすいみたいな。

人と人として向き合うのってやっぱりすごく良いなって。
(大人と子供であっても)上下関係を作らないというのが好きで。
私は大人で、この人より早く生まれているだけで、そこに何か壁を作りたくないんですよね。

斉藤 幹男
Artist

うん、僕はそうです、安全面だけですね。
やっぱりその、大人がいて、ちゃんと守らなきゃいけない部分っていうのは、安全面だけなのかなって。

小学校高学年くらいからは、僕がしてあげられることってほぼ無いんですよね。
でも、ひとつあるとしたら、本当に何をやりたいのかを聞くってことだけなんですよね。

で、そのやりたいことがその学校とかでできないことだったら、まあ、知恵を出し出して実現させるみたいな。

川田 由紀
保育士

そういう姿勢が、子どもたちにとっては助けになることもあるんでしょうね。
子どもじゃなくて、人として認めてくれるというか。

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